DONUTSには様々な分野の専門家として会社の成長を支えてくださっている、たくさんの方々がいらっしゃいます。
今回は、2020年10月よりDONUTSのアドバイザーに就任してくださった丸山茂雄氏に、その経緯とDONUTSへの期待を語っていただきました。
丸山氏はこれまでの豊富な経験を活かして、音楽業界の発展と若い才能の発掘に日々尽力、日本のエンターテイメント業界を長らく第一線で牽引されています。多くの著名なアーティストからも「丸さん」と慕われる、その謙虚で思慮深いお人柄にもご注目ください。
<株式会社DONUTSアドバイザー 丸山茂雄氏プロフィール>
早稲田大学を卒業後、株式会社読売広告社を経て、CBS・ソニーレコードに入社し、EPIC・ソニーを設立。後、株式会社ソニー・ミュージックエンタテインメントの代表取締役社長に就任し、多くの大物アーティストのプロデュースを手掛け、現代の音楽業界の基盤を創生した。
また、株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント取締役会長にも就任し、プレイステーションを世に打ち出すなど、ゲーム業界の成長にも大きく寄与する。
現在は、株式会社247Musicを設立した後、株式会社トゥー・フォー・セブン取締役、ブレイカー株式会社取締役、株式会社フェノロッサ取締役、株式会社REDMusic取締役に就任し、現在も音楽業界の現場で指揮を執り続けている
―自分を知らない、若い人と話をしたい!
DONUTSの役員と以前から仕事でお付き合いがあり、お声がけをいただいてDONUTSのアドバイザーに就任しました。私はこれまで音楽業界からゲーム業界へと経験を重ねてきましたが、DONUTSはビジネスからゲーム業界へと事業を拡大しており、お互いに経験がクロスしている部分があります。DONUTSの事業には、これまで私が主に経験してきた音楽やゲーム業界とは異なる分野もありますが、自分の培ってきた経験が、少しでも日本の未来を支える若い人たちの役に立てるなら光栄です。
私は長くSONYグループに在籍していましたので、少し前までは社内や業界では私を知らない人はいない、という状況でした。ところが最近は若手の社員に「名前だけは知っている」「写真では見たことがある」と言われることも増え、まるで歴史の教科書に載っているような存在になりつつあり…でも、それが逆に新鮮にも感じられました。
また、これまで各年代ごとに友人関係を築くように意識してきましたが、元気に楽しく仕事をしている、30歳以上年の離れた若い友人を作るのはなかなか難しくなっていました。そんな中でDONUTSのアドバイザーのお話をいただいて、自分を知っている人がいない会社で、フランクに若い人とコミュニケーションをとれるのはとても貴重な機会でもあると考え、お引き受けすることにしました。
―DONUTSの魅力
DONUTSは会社としての仕組みがとても面白いですよね。ビジネスのロジックは一緒だとは思いますが、「ジョブカン」や「CLIUS」のようにビジネスに特化した事業と、ゲームや「ミクチャ」などエンターテイメント性の高い事業を一つの会社で展開しているのはすごいことだと思います。しかも、一見脈絡なく事業を展開しているようにも見えて、実は社内ではシナジーを生んでいる。近年、このように事業展開の幅が広い企業が増えてきているような印象も受けます。
これまではいわゆる業界特有の習慣や常識が、新規事業参入の大きな壁になっていたように思います。ところがデジタル化が進んだことで、どの業界もいまは新規参入のハードルがずいぶん下がりました。若い人たちは容易く業界の壁を乗り越えて、次々と新しい業界に挑戦していますけど、この業界の垣根の越え方はとても勉強になりますね。
―新しい才能の発掘に尽力
「プレイステーションの生みの親」のひとりと言われることもありますが、時代の流れを先取りした、という実感は正直それほどありません。1980年代後半に、SONYにいた個性的な若手開発担当者が、これからはデジタルの時代だ!とゲーム開発に挑戦したいと言い出したことがプレステ開発のきっかけになりました。しかしこれは、世の中に受け入れられるゲーム機に利用できる優れた半導体を開発して、最初の顧客を獲得しようという読みが根底にあったものです。
私は60歳でソニー・ミュージックエンタテインメントを定年退職して自分の会社を設立し、MONGOL800、ORANGE RANGE、HYなど新人アーティストが相次いで輩出されていた沖縄で、新たな才能を発掘していました。その後帰京し、2005年に新人アーティストの音楽配信サービス「mF247」を立ち上げました。しかし、同年にアメリカで音楽だけでなく映像も同時に配信できるYouTubeがスタートしていて、先を越された気がしましたね。その当時から私を公私ともに支えてくれているパートナーが、株式会社REDMusic代表取締役の宇佐美友章です。宇佐美もまたDONUTSのアドバイザーとして、音楽業界での知見や経験を活かし、私とは違う視点からDONUTSの成長をサポートさせていただいています。
―「カッコイイ生き方」をいつも模索
私はソニー・ミュージックエンタテインメントで定年まで勤めあげて、日本企業のいち組織の会社員として、やれることはやり尽くしたと思っています。定年後は会社の看板を背負っていない分、アイディアだけで何でも自由にできる立場になりましたが、私はクリエイターではないので、自分一人ではやれることに限界を感じることもあります。
生涯仕事を続けること=カッコイイになるのかどうかはわかりません。でも、カッコイイ生き方をしたい!とは常々思っています。カッコつけたいわけではありませんが、カッコよく見せるのは意外と難しいですよね。時には若い子たちが驚くほど新しいことに果敢にチャレンジもしますが、「どうして丸さんは引退しないんだろう?」と思われたら負けです(笑)
若い人のことは正直わからないので、率先して口を出すようなことはしませんが、これから日本の社会や企業の重要なポストを担う50代の人たちには、口を出すことももちろんありますよ。ただ、DONUTSを率いる西村さんはまだ40代とお若いのに、こんな私の話に日頃から真剣に耳を傾けてくださっていて、とても嬉しいですね。
―才能が集まる場所
音楽業界はこの短期間で激変しています。どうしたら新しい才能を発掘し、その才能を育てていくことができるか。音楽レーベルも、既存のスタイルは終焉を迎えようとしており、ここで業態を変更して生き残る道を見出せるかどうかが重要な鍵になると思っています。
一方で「THE FIRST TAKE」に代表されるような全く新しい音楽サービスが次々と台頭しています。このようなサービスが音楽業界の一大勢力となれば、若く優秀な才能も全てそこに集約されることになるでしょう。
DONUTSのプロダクトにも、新しい才能を発掘して、世の中に送り出せる可能性を感じています。特にライブ配信アプリ「ミクチャ」は大きなプラットフォームですよね。もっと音楽とリンクしたサービスを提供することで、いつかミクチャ発の新人アーティストを世に送り出すことも可能だと考えています。
―未熟さは武器になる
軌道に乗っている企業の姿に憧れて入社してくる社員は、実はその会社がこれまでやってきた仕事のやり方のファンでもあるんですよね。しかし、それは時に企業の成長の足枷になることも否定できません。新しいことに挑戦するなら、経験のない方が実はプラスに作用することも多くあります。スタイルが出来上がっていなければ、固定観念にとらわれることもありません。未熟であることは、成長の最大の武器になります!枠にはまらないDONUTSの、これからの成長に期待しています。